輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

むし

虫

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《虫(むし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 44,053 字 · 86 頁

青空文庫

でいる時など、発熱の為にドンヨリとうるんだ脳の中を、文子の笑顔ばかりにして、熱っぽい小さな腕に、彼自身の胸を抱きしめながら、ホッと溜息をつく位が、関の山であった。

ある時、彼の幼い恋にとって、誠に奇妙な機会が恵まれたことがある。それは、当時の高等小学二年級の時分で、同級の餓鬼大将の、口髯の目立つ様な大柄な少年から、木下文子に(彼女は尋常部の三年生であった)附文をするのだから、その代筆をしろと命じられたのである。彼は勿論級中第一の弱虫であったから、この腕白少年にはもうビクビクしていたもので、「一寸こい」と肩を掴まれた時には、例の目に涙を一杯浮べてしまった程で、其命令には、一も二もなく応じる外はなかった。彼はこの迷惑な代筆のことで胸を一杯にして、学校から帰ると、お八つもたべないで、一間にとじ籠り、机の上に巻紙をのべ、生れて初めての恋文の文案に、ひどく頭を悩ましたものである。だが、幼い文章を一行二行と書いて行くに従って、彼に不思議な考が湧上って来た。「これを彼女に手渡す本人はかの腕白少年であるけれど、書いているのは正しく私だ。私はこの代筆によって、私自身の本当の心持を書くことが出来る。