輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
線上閱讀海野 十三《蠅男(はえおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 頁
「だが、蠅男を見たのは、恐らく捜査側では自分だけだろう」
帆村は、そのことについて些か得意であった。それは実に大きな土産話である。
蠅男というやつは、実に力の強い奴で、三貫目の味噌樽を、あたかも野球のボールを叩きつけるように楽々と抛げた。そして自動車も操縦できれば三輪車にも乗れるというモダーン人だ。
しかしよく考えてみると、蠅男について分っているのはそれだけであった。どんな身体つきをしているのか、それは黒い吊鐘マントの下に蔽われていてハッキリ分らない。それからまたどんな容貌をしているのか、それは防毒面みたいなものを被っているので、これもハッキリ分らない。ただ気味のわるい二つの眼がギロギロと動くのを見たばかりである。
いや、もっと分らないところがある。帆村はさきに玉屋総一郎の殺された密室を調べた挙句、蠅男について次のような推理をたてた。つまり、
「蠅男の背丈は八尺である。そして蠅男は一升桝ぐらいの四角な穴を自由に出入する人間である」
というのであるが、崖上に見たあの蠅男は、五尺四、五寸しかない普通の人間の背丈に見えた。況んや一升桝の間を抜けるような細い身体のようには見えなかった。