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はえおとこ

蠅男

海野 十三

線上閱讀海野 十三《蠅男(はえおとこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 頁

青空文庫

そして彼は子供のように、その廻転椅子をギイギイいわせて、左右に身体をゆすぶった。それは彼の癖だったのである。

「さあ、その――その手紙、ここへ持っといで」

彼は呶鳴るようにいうと、娘の糸子は細い袂の中から一通の黄色い封筒を取りだして、父親の前にさしだした。

「なんや、こんなもんか。――」

総一郎は、封の切ってある封筒から、折り畳んだ新聞紙をひっぱり出し、それを拡げた。それは新聞紙を半分に切ったものだった。

「なんや、こんなもの。屑新聞やないか」

彼は新聞をザッと見て、娘の方につきだした。

「新聞は分ってるけど、只の新聞と違うといいましたやろ。よう御覧。赤鉛筆で丸を入れてある文字を拾うてお読みやす」

「なに、この赤鉛筆で丸をつけたある字を拾い読みするのんか」

総一郎は娘にいわれたとおり、上の方から順序を追って、下の方へだんだんと読んでいった。初めは馬鹿にしたような顔をしていたが、読んでいくにつれてだんだん六ヶ敷い顔になって、顔がカーッと赤くなったと思うと、そのうちに反対にサッと顔面から血が引いて蒼くなっていった。

「そら、どうや。お父つぁんかて、やっぱり愕いてでっしゃろ」