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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《血曼陀羅紙帳武士(ちまんだらしちょうぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 頁

青空文庫

でも、それも、次第に奥の方へ移って行き、やがて消え、吹いて来た風に、植え込みに雑じって咲いている桜が、一斉に散り、横撲りに、四人の顔へ降りかかった。四人の者は、そっと吐息をし、府中の町が、一里の彼方、打ち開けた田畑の末に、黒く横仆っているのを、漠然と眺めやった。町外れの丘の一所が、火事かのように赤らんでいる。

「そうそう」と角右衛門が云った。「今日から府中は火祭りだったのう。あの火がそうじゃ」

「向こう七日間は祭礼つづき、町はさぞ賑わうことであろう」――これは片岡という武士であった。

「府中の火祭り賭場は有名、関東の親分衆が、駒箱を乾児衆に担がせ、いくらともなく出張って来、掛け小屋で大きな勝負をやる筈。拙者、明日は早々ここを立って、府中へ参るつもりじゃ」これは山口という武士であった。

「わたくしも明日は府中へ参ります所存。この頃中不漁で、生物にもありつかず、やるせのうござれば、親分衆に取り持って貰って……」

と、紋太郎が云った。生物というのは女のことらしい。

血蜘蛛の紙帳

それを聞くと、角右衛門は笑ったが、

「貴殿方は、どの親分のもとへ参らるる気かな。