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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《街はふるさと(まちはふるさと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 頁

青空文庫

本当の契約金は十万ですが、然るべき筋へ五万いる。あの新宿の一等地がそれだけでよろしいのです。ぼくは、ここである明朗な商売を記代子にやらせたいと思っていますが、さし当って、困っているのは現金なんですよ。ぼくには現金がないのです。その日その日の運転資金が精いっぱい、生活費にも事欠いてロクな物も食わせないのに、野郎どもも記代子も平気で我慢してくれますよ。時世だから、仕様がない。ね、これですよ。でも、あなた、みすみす、もうけ口があるのに、私もムリな苦面を重ねてもやってみたい。記代子もやりたがっているのです。五万ぐらいは、ぼくもなんとかできそうですが、あなた、十万、かしてくれませんか。記代子のためたです。記代子の商売なんです。あなたを記代子の親友とみこんで、おねがいするのですよ」

放二は思いまどった。

エンゼルの話は、なんとなく軽薄である。だまされるにしても、彼が真剣にだますつもりなら、彼に誠意のとどくまで、甘んじてだまされることに不服はなかった。誠意がついに届かなくとも仕方がないと諦めるのはワケがないが、彼は一生だまされてみたいような気もしていた。一生をかけてだまされたら、なんとかなりはしないかというミレンがあった。