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おやはながめてかんがえている
親は眺めて考えている
金森 徳次郎
線上閱讀金森 徳次郎《親は眺めて考えている(おやはながめてかんがえている)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 14,403 字 · 29 頁
知らぬ間に、博雄のポケットには、メンコやビー玉が一杯になっている。案外勝負に強いのかも知れぬ。
これらの子供たちの交際を見ていると、実に愉快そうだが、心配な面もないことはない。しかしそのうち、父親の身辺も非常に急がしくなって、老躯をひっさげながら壮人と伍するわけで、勢い子供から手を抜くの外はない。昭和二十一年には博雄が小学校四年生であった筈だが、六年生を終るまで彼は楽しく学校生活をし、本人としては幸福を感じていたと思う。
八畳足らずの一室に、親子六人が居住し、雨は洩り、月影は屋根を通して眺め得るこの生活にも、彼は十分満足していたものと思う。親も、本心はこの生活の気楽を愛していたが、孟母三遷の教えを気にする面もあった。
それは、野の子として育つことには賛成だが、泥沼の子になることには警戒心をもったからである。私は理論上、義務教育小学校を愛惜するのであるが、具体的の場合に、何か困る事情ありげに感じたからである。博雄の学校の成績が、どんなであったかは実は知らない。運の悪いいろいろの事情に災されていたことも考えあわせ、また大器晩成流の家風をも念頭に置いたために、深く考えても見なかったのである。