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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《詩の原理(しのげんり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 頁

青空文庫

だがこの解りきったものを除外して、他の別の形式による表現から、詩的精神の高いものを探してみよう。第一に先ず、何よりも音楽が考えられる。音楽はすべて――西洋の音楽でも日本の音楽でも――本質的に主観芸術の典型に属している。音楽ほどにも、感情の意味を強く訴え、詩を感じさせる表現はないであろう。この意味で音楽は、詩以上の詩、詩の中での詩と言うことができる。

然るに人々は、しばしば音楽の中に於ける、或る特殊な音楽を指して「詩」と言ってる。たとえばショパンや、ベートーベンや、ドビッシーやは、常に一般から詩人音楽家と呼ばれている。そしてハイドンや、バッハや、ヘンデルやは、そう呼ばれていないのである。何故だろうか? けだし前に他の章で述べた如く、音楽の部門に於ても、それぞれまた主観派と客観派との対立があり、そしてショパン等は前者に属し、バッハ等は後者に属しているからだ。「詩」という言語は、常にあらゆる関係の比較に於て、主観的のものにのみ属するのである。(「音楽と美術」参照)

しかし吾人は、この章に於て特に文学のことを考えよう。なぜなら詩の形式は、本来文学に属しており、小説や戯曲と密接な関係を有するから。