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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《認識論とは何か(にんしきろんとはなにか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 頁

青空文庫

だが客観的にはそれが必ずしも正しいということにはならぬ。

こんなことは誰でもが嫌程知っていることなのだが、併しここにすでに、認識についての主観と客観との関係、つまり意識と意識外との関係という根本問題が織り込まれている。意識的には正しい認識の心算が、意識主観を離れて見ると、意外にも正しくないかも知れぬということは、認識というものの計り知るべからざる謎を提出する。――だがそれだけではない。人間はいつも正直であるとは限らない。或る必要があって不正直になるということも計算に入れなくては、認識の正しい正しくないを切実に検討することは出来ぬ。意識主観の知恵が足りないばかりが、不正な認識の原因ではない。知恵の有り過ぎることが却って不正な認識の源泉ともなる。人間が意識的に嘘をつくとしたら、認識の正不正は一体どんなに複雑な問題になるか知れない。更に、本当に嘘をつく心算でなくても、半ば意識的に嘘をつくという状態も亦、不健康な精神とばかり云うことが出来ない。すると問題は益々複雑となって来る。――かくて主観と客観との問題にからんで、認識に於ける真理=真実と虚偽との関係が、意外に錯雑した難問となって来る。