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いかにどくしょすべきか
読書と人生
三木 清
線上閱讀三木 清《読書と人生(いかにどくしょすべきか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,486 字 · 57 頁
最初にお目にかかったとき親切にして戴いた印象があったからであろう、その後私は学生時代、月に一二度は先生のお宅に伺ったが、割に気楽に話をすることができた。先生は自分から話し出されるということが殆どなく、それでせっかく訪ねてゆきながら、どんな質問をしていいのか迷って黙っているうちに半時間ばかりも時が経って、遂に自分で我慢しきれなくなり「帰ります」というと、先生はただ「そうか」と云われるだけである、――そんなことが多いと学生仲間で話していた。考えてみると、あの時代の先生は思索生活における悪戦苦闘の時代で、いわば哲学に憑かれていられて、私どもたわいのない学生の相手になぞなっていることができなかったのであろう。私は通学の途中、先生が散歩していられるのを折々見かけた。太い兵児帯を無造作に巻きつけて、何物かに駆り立てられているかのように、急いで大胯で歩いて行かれた。それは憑かれた人の姿であった。先生の哲学のうちにはあの散歩の時のようなひたむきなもの、烈しいものがあると思う。
二
西田先生の講義はいつも午後にあった。土曜日の午後の特殊講義は、京都大学の一つの名物になっていて、その時には文科の学生ばかりでなく卒業生も、また他の科の人々も聴きに来るので、教室はいつもいっぱいであった。