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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《論語物語(ろんごものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 頁
「やはり云えないのか。じゃが、わしには解っている。」
「は?」
「無遠慮にいうと、君にはまだ邪心があるようじゃ。」
楽長は邪心と云われたので、駭いた。さっき孔子を怨む心がきざしたのを、もう見ぬかれたのか知ら、と疑った。
孔子はそれに頓着なく、
「1詩でも音楽でも、究極は無邪の一語に帰する。無邪にさえなれば、下手は下手なりで、まことの詩が出来、まことの音楽が奏でられるものじゃ。この自明の理が、君にはまだ体得出来ていない。腕は達者だが、惜しいものじゃ。」
楽長は、もう默っては居れなくなった。
「先生、なるほど私は今日の失敗について、どうした機みか、一寸先生を怨みたいような気にもなりました。まことに恥かしい事だと思っています。しかし、奏楽の時に、私に邪心があったとは、どうしても思えません。私は、今度こそ失敗がないようにと、それこそ一生懸命でございました。」
「なるほど。……それで、どうして失敗ったのじゃ。」
「それが実に妙なきっかけからでございまして……」
「うむ。」
「先生のお眼にぶッつかると、すぐ手もとが狂い出して来るのでございます。」
「ふふむ。すると、わしの眼に何か邪悪な影でも射しているのかな。