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まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《貧しき人々の群(まずしきひとびとのむれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 頁

青空文庫

これには皆当惑した。泣いても笑っても、もう追付かないので、何もその日にきっかり出来ずとも、最も良い結果を得さえすれば、三日四日の日などを、故(もと)の先生は気にもお止めなさるまいということになって、一週間の猶予が善良なる故牧師の霊から与えられることになった。

婦人達の口は、暫く故人の厚徳を称え、確かに天国に安まっているという断言に忙しかったのである。

いよいよ日が迫って、寄附締切りの日には教会の内壁に紙を下げ、一々寄附金額を書き並べた。そして、その下に犇(ひしめ)き合って、

「あら! まあちょっと御覧なさいましよ。あの方はあんなに出していらっしゃる――。さすが何といってもお暮しの好い方は違いますねえ」

と感嘆する婦人連の間を、筆頭に、

「一金百円也。会長閣下」

と書かれた山田夫人が、気違いのように肩を振り振り歩き廻って、何か云われる毎に、

「いいえ、どう致しまして。お恥かしいんでございますよ」

と云いながら、一金百円也を睨み上げた。

すべては驚くべき貴婦人らしさで進行して行ったのである。

十三

町の婦人連の間に、この計画のあるという噂は、直ぐ私共の耳にも入り、次で村中に拡がった。