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くまとしゃしょう
赤い鳥代表作集 2
木内 高音
線上閱讀木内 高音《赤い鳥代表作集 2(くまとしゃしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 14,043 字 · 29 頁
――それでも自分は、ガラスのかけらで手を切らないように用心しながら、そろそろとあたりをかき探してみた。なんというあてもない、ただ自分は、むちゅうでそんなことをしていたのだ。
「うわう……。」
くまは、またうなり声をあげた。自分は、ぎょっとして、そちらを見すかしたが、真暗やみの中で、よくは見えないが、くまは戸口に前足をかけたまま、動かずにいるようだ。
自分は、その時、みょうなことを考えた。――いや、考えたことがらは、みょうでもなんでもないのだが、そんな、せっぱつまった場合に、よくも、あんな、のんきなことを考えだしたものだと、それがみょうなのだ。
それは、自分がいままでにきいたくまについての、いろんなめずらしい話なのだ。そんなものが、つぎからつぎへと頭にうかんできた。
……そのうちの一つは、ふいに山の中でくまにでくわした人の話だった。そういう場合に、死んだふりをするということはだれでも知っている。しかし、これは、それにしてもものすごい話だった。――その人は、やはり、どうすることもできず、仕方なしにたおれて息を殺していたのだそうである。くまが、頭のそばへきて、自分をかぎまわしているのが、はっきりとわかる。