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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
線上閱讀海野 十三《赤耀館事件の真相(せきようかんじけんのしんそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 頁
それは、勝見が笛吹川画伯の埋葬を済ませて帰って来てから、一週間ほどのちの出来事でした。兄が綾子の室へ用事があって扉の把手に手をかけたとき、何事にも気が付かないような熱心さで、綾子と勝見が言い合っているのを聞いてしまったのです。
「笛吹川さんは、ほんとうに死んだの」
「本当でございます。お疑いならば日暮里の火葬場へお尋ね下さい。それから画伯の骨を埋めた今戸の瑞光寺へお聞き合わせ下さい。しかし何故、奥様はそんなことをおっしゃるのです」
「わたしには、あの人が死んだように思われないの。あの通りエネルギッシュな笛吹川さんが、そう簡単に死ぬもんですか。ことに心臓麻痺で頓死なんて、可笑しいわね」
「可笑しくても仕方がありません。画伯はもう骨になっています。それでも死んでいないとおっしゃるのですか」
「あんたの言うようなら、死んだのに違いないでしょう。しかしわたしの直感を正直に言ってしまえば、笛吹川さんは、死んでいないか、さもなければ、誰かに殺されたのに違いない。――あんたは何か知っているのでしょう」
「はい、私は二三のことを存じて居ります」
「言ってごらんなさい、なにもかも」