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たちあがるおおさか
起ち上る大阪
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《起ち上る大阪(たちあがるおおさか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,862 字 · 10 頁
と言ったという。
この話を想い出しながら、劇場の前を過ぎた途端、名前を呼ばれた。振り向くと、三ちゃんであった。三ちゃんは波屋書店の主人で、私が中学生時代からずっと帳付けで新刊書を買うていたのは三ちゃんの店であったし、三ちゃんもまた私の新しい著書が出ると、随分いい場所に陳列して売ってくれていたし、三ちゃんの店が焼けたことは感慨深いものがあり、だから、顔を見るなり、挨拶もそこそこにその事を言った。
「あんた所が焼けたので、雑誌が手にはいらんようになったよ」
すると三ちゃんは、滅相もないという口つきを見せて、
「何言うたはりまんねん。一ぺん焼かれたくらいで本屋やめますかいな。今親戚のところへ疎開してまっけど、また大阪市内で本屋しまっさかい、雑誌買いに来とくなはれ」と、三ちゃんは既に捲土重来の意気込みであった。そして、私をはげますように、
「織田はん、また夫婦善哉書きなはれ」と言ったので、私は、
「サアナア、しかし、夫婦善哉といえば、あの法善寺の阿多福の人形は助かったらしい。疎開していたから、きっとどこかで無事に残ってる筈だよ。その行方を探す小説を書くかな。いや、それより、地蔵さんの話を書こう思ってる」