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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
線上閱讀谷 譲次《踊る地平線(上)(おどるちへいせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 168,926 字 · 332 頁
エスキル・アルトベルグ
アルトベルグさんは学者肌の中老の紳士で、私達が戸を排したときは、ちょうどお客のお婆さんに日本の紡績絣を一尺ほど切って売っていた。店内は日本の品物をもって埋まり、蓙・雨傘・浮世絵・屏風・茶碗・塗物・呉服・小箱・提灯・人形・骨董・帯地・着物・行李・火鉢・煙草盆――一口に言えば何でもある。ことに鍔と「ねつけ」の所蔵は相当立派なものらしい。写楽、歌麿、広重なんかも壁にかかっている。珍客――私達――の出現にすっかりよろこんで、お客のほうは女店員に任せっきり、いろいろ江戸時代の絵を出して来たり、自分の著した“Netsuke”と題する研究的な一書を見せたり、そのあいだも、何にするのか女中のお仕着せみたいな染め絣が一尺二尺とよく売れて行く。
アルトベルグさんは非常な論客だ。ほとんど完全に近い知識階級の日本語でまくし立てる。
『日本はほんとにいい国です。私も度々行きました。また行くつもりです。しかし、もうあんまり掘出し物はありませんな、高価いばかりで。いや、たかいの何のって、とても私なんかにあ手が出ません。この写楽はいいでしょう――が、このへんになるとどうも――それから広重――と、氏は読みにくい昔の日本文字を自由に読みこなして――東海道五十三次掛川之宿。