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おどるちへいせん
踊る地平線(下)
谷 譲次
線上閱讀谷 譲次《踊る地平線(下)(おどるちへいせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,823 字 · 283 頁
私は、それを早晩来べきものとして、予期していたような気さえした。
間もなく、羅馬の雑沓が私のタキシの左右に後退していた。
到るところに、噴水と憲兵が立っていた。彫刻と、大石柱の並立とがあった。史的色調と、民族の新しい厳則とが、どこの露路からも、二階の窓からも、晴々しく覗いていた。
料理店では、食慾がマカロニを吸い込んでいた。それが、私を見て、手を振った。
英吉利の小都会からの観光団が、案内者の雄弁に引率されて、国民経済省の建物を見上げていた。それを、子供と写真帖売りが、遠巻きにしていた。
軍楽隊が来た。
黒装束に、腰の革帯に短刀を一本挟んだきりの、フュウメ決死隊の一人が、軍旗といっしょに、先頭だった。それに続いて、青灰色の軍服の行列が、重い靴で、鋪道を鳴らした。
私のタキシは、徐行した。運転手は、右腕を真直ぐに伸ばして、前方へ斜め上に突き出す礼をした。これは、昔羅馬武士が、出陣に際して、王と神の前に戦勝を誓った、儀礼の型であり、そして、今は、ムッソリニと彼の仲間が、公式に流行らせているいわゆる「羅馬挨拶」なのだ。
私の運転手は、ファシストだった。