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こんどういさみとかがく
近藤勇と科学
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《近藤勇と科学(こんどういさみとかがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,465 字 · 28 頁
「木津迄なんぼや」
と、手をあげていた。そういう喧騒を、橋に、肱をついて、呆然と見下ろしている人もあった。
「あら、新撰組や、新撰組も、負けはったらしいな」
「近藤さんや、あの人が」
「あら、土方やがな。近藤さんは、墨染で、鉄砲で打たれた人で、御城で、養生してはんがな」
町の中も、車と人とで一杯だった。夕方か、明日、薩長の兵が乱入してくるという噂が立っていた。
新撰組の人々は、町人も武士も突除けて、小走りに、城へ急いだ。高麗橋口へかかると、馬上の人が、徒歩の人が、激しく出入していた。いつも、右側に、袴をつけて、番所の中に忝まっている番人が、一人もいなかった。
石段を走り上って、中の丸へ入ると、鎧をつけた人が立っていた。一人が、その側を通りがしらに
「鎧は役に立たぬ」
と、云った。その男は、何を云われたか判らぬらしく、新撰組を見送っていた。
百畳敷の前へきた時、土方が
「ここで待てっ」
と、叫んだ。そして、旗本を見ると
「未だついてきたのか」
「はい」
「貴公ら、早く江戸へ戻れ」
「はい」
旗本はそう答え乍ら、衰弱的な眼で、土方を見上げた。
戻る道――それは、何う成っているか判らなかった。