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ちかごろかんじたこと
近頃感じたこと
小川 未明
線上閱讀小川 未明《近頃感じたこと(ちかごろかんじたこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,765 字 · 8 頁
正しく生存する姿は、決して、自然との闘争でなくして、調和であると信ぜられるが故、たとえ虫にもせよ、意識的に殺したと考えると、いい知れぬ、さびしい気がしたのです。
学校へ行く男の子が、虫の標本をつくるといって、いろ/\のせみを苦心して、木から捕えて来ました。彼に、こうした興味を呼び起した動機は、偶然、野原かどこかで、小さな美しい草ぜみの死骸を見出したことからです。
「お父さん、ごらんなさい。こんな小さいせみがありますよ」
と、示されたのを見た時に、自分も、おどろいたのでした。この年齢になるまでに、まだこのようなせみを見たこともなければ、その鳴き声に耳をすましてきいたこともなかった。全く、私にとって多彩なる自然界に対する、感歎をさらに深からしめたものです。それは別として、子供が、せみを捕るのを知って、だまっていられませんでした。
私は、子供に、彼の偉大なるダーウィンが生きた虫を殺そうとせず、死骸をさがしてきて、標本をつくったという話をして聞かせました。
「そんなら、ひとりでに死んだのならいゝのですか」と、彼は問いかえしました。自然の死は、誰をとがむることもできないと私は答えた。