輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ついおくのとうや

追憶の冬夜

寺田 寅彦

線上閱讀寺田 寅彦《追憶の冬夜(ついおくのとうや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,522 字 · 9 頁

青空文庫

をやろうと云い出したものがあった。この「難破船」の遊びが前述の「神鳴り」とそっくり同じようである。

先ずはじめに銘々の持ちものを何か一つずつ担保 gage として提供させる。それから一人「船長」がきめられる。次にテーブルを囲んだ人々の環を伝わって卓の下でこそこそと品物が廻される。口々に La mer est calme, la mer est calme.(好い凪だ)と云っている。次に何と云ったか忘れたが、とにかく「海が荒れ出した」という意味の言葉を繰返している。その間にも断えず皆が卓の下で次々に品物を渡しているような真似をしている、その人の環のどこかを実際に品物が移動しているのである。船長がいきなり「ノーフラージュ(難船)」と怒鳴ると、移動がぴたりと止まるのである。自分も一度運悪くこの難船にぶつかって何かケルクショーズをしなければならないことになったので、そのケルクショーズの思案に苦しんでいたら隣席の若いドイツ人がドイツ語でこっそり「いちばん年とったダーメに花を捧げたまえ」と教えてくれた。幸いにドイツ語はこの席の誰にも通じなかったのである。そこで私は立って窓枠にのせてあった草花の鉢をもって片隅に始めから黙って坐っていた半白の老寡婦の前に進み、うやうやしくそれを捧げる真似をしたら皆が喜んでブラボーを叫ん