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ついおく

追憶

芥川 竜之介

線上閱讀芥川 竜之介《追憶(ついおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,304 字 · 23 頁

青空文庫

僕は確か父といっしょにそういう珍しいものを見物した大川端の二州楼へ行った。活動写真は今のように大きい幕に映るのではない。少なくとも画面の大きさはやっと六尺に四尺くらいである。それから写真の話もまた今のように複雑ではない。僕はその晩の写真のうちに魚を釣っていた男が一人、大きい魚が針にかかったため、水の中へまっさかさまにひき落とされる画面を覚えている。その男はなんでも麦藁帽をかぶり、風立った柳や芦を後ろに長い釣竿を手にしていた。僕は不思議にその男の顔がネルソンに近かったような気がしている。が、それはことによると、僕の記憶の間違いかもしれない。

二二 川開き

やはりこの二州楼の桟敷に川開きを見ていた時である。大川はもちろん鬼灯提灯を吊った無数の船に埋まっていた。するとその大川の上にどっと何かの雪崩れる音がした。僕のまわりにいた客の中には亀清の桟敷が落ちたとか、中村楼の桟敷が落ちたとか、いろいろの噂が伝わりだした。しかし事実は木橋だった両国橋の欄干が折れ、大勢の人々の落ちた音だった。僕はのちにこの椿事を幻灯か何かに映したのを見たこともあるように覚えている。