輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みちづれ

道づれ

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道づれ(みちづれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 頁

青空文庫

「おばあちゃん、いっといでよ」

と云った。

「私、きょうやめる。何だかもう面倒くさくなっちゃったもん」

「若い女がそんな――みほちゃんはきめがこまかいから、お風呂にさえよう入っとりゃ、いつも本当にきれいなのに。髪だってそんなに見事なんだし……」

みほ子がとりあわないので、おむらは細々と糠袋までとり揃えて、羽織をかえて湯へ行った。みほ子の父親が大正七八年の暴落で大失敗をし、一家離散の形になって、妻の故郷の田舎町の保険会社へつとめて行くまで、おむらは亡夫の昔の同僚であって現在では実業界に隆々としている男の家へ、紋付の羽織で盆暮には出入りするのを楽しみと誇りにしていた。高等小学校を優等で出て、縹緻もよいみほ子、勤め先での評判もいいみほ子を眺めるおむらの眼には、その頃よく新聞などにさわがれたデパートの美人売子がどこそこの次男に見込まれたというような、そんな場合さえ描かれていないことはないのであった。

一人になると、みほ子は足をなげ出し、箪笥へ頭をもたせかけ、上瞼へそれが特徴の鋭さであるスーとした表情をうかべながら、考えこんだ。

みほ子が店で模範店員であるのも、それは彼女が店を無上のところと思い、境遇に甘んじて、その中でいい子になっての結果ではなかった。