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どうじょうじ(ひとまくげき)

道成寺(一幕劇)

郡 虎彦

線上閱讀郡 虎彦《道成寺(一幕劇)(どうじょうじ(ひとまくげき))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,256 字 · 30 頁

青空文庫

間。

妙海 このような恐ろしい晩は聞きも知らぬ。またいつもと同じように一と打ちで微塵にこわれてしまえばいいに、なまじあんないやらしい呻き声がひびき出したばかりよ。

妙信 さっきからわしもこの子に言うことだ。(間)だが月もあんなにまわって、だんだん夜あけ近くなって来たが、上って来ようというのならこの上時を移すまいぞ。

妙源 こんな風に怯えながら。甲斐のない見張りをしているうちには、もうとっくに上って、どこぞ雷にさかれた巌間にでも潜んでいるか知れぬことだ。

妙信 (かすかに語調を失いて)いいや上って来たものなら、何よりも先この鐘に異変が見えねばならぬのだ。蛇体のままでか、それとも鬼女の姿になってか、一番にこの鐘へ取り付きに来ようわ。

妙源 それにしてもいま眼の前に姿が見えたらどうしようというのだ、誰ぞ退散の法力でも持っているのかい。和尚はあんなざまだしよ。

間。四者のみずから知らざるがごとく相寄るは、水に沈み行く稀有なる群像のさまを想わしむ。池底のごとき沈黙。

妙源 (対者を定めず)和尚はどこへ行ったのだ。

妙信 ほんとに和尚はどこへ行ったのだろう。さっきわしらがここへ来た時、ちょうど本堂の中でいつものようにわめき始めたとこだったが、気づかぬうちに声もやんだような。