輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《道標(どうひょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 頁

青空文庫

素子が、マリア・グレゴーリエヴナのところでプーシュキンをはじめるときめたとき、伸子は何心なく、

「新しいものやったら?」

と云った。古典は、持ってかえっても読める。革命後の文学は、つかわれている言葉そのものさえ違って来ているのだから。そう思ったのだった。すると素子が、閃くような笑いかたをして、

「そして伸子さんのお役に立てますか」

と云った。瞬間、伸子にわけがわからなかった。伸子はほとんど、あどけない顔で、

「わたしに?」

とききかえしながら素子を見た。その伸子の眼を見て、素子は急に語調をかえた真面目な調子で、

「わたしは、一年は古典をやるよ」

と云った。そう云っているうちに、素子の顔が薄すらと赧くなった。

「新しものずきは、どこにだってありすぎるぐらいあるさ。しかし、ロシア文学には古いもので立派なものがどっさりあるんだ。いまの文学に意味があるんなら、その歴史の源が、ちゃんとあるんだもの――シチェドリンだって、サルトィコフだって。面倒くさくて儲かりもしないから、誰もやらないのさ。――だからわたしは、一つ土台からやってやるんだ」

素子が自分で云ったことに対してひそかに赤面したわけは、よっぽどたってから、伸子に、わかった。