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きょうしゅうのしじん よさぶそん

郷愁の詩人 与謝蕪村

萩原 朔太郎

線上閱讀萩原 朔太郎《郷愁の詩人 与謝蕪村(きょうしゅうのしじん よさぶそん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 39,038 字 · 78 頁

青空文庫

この村の人は猿なり冬木立

西吹けば東にたまる落葉かな

寒菊や日の照る村の片ほとり

我も死して碑に辺せむ枯尾花

芭蕉の「菊の香や奈良には古き仏たち」と双絶する佳句であろう。

この村の人は猿なり冬木立

田も畠も凍りついた冬枯れの貧しい寒村。窮迫した農夫の生活。そうした風貌の一切が「猿なり」という言葉で簡潔によく印象されてる。

西吹けば東にたまる落葉かな

西から風が吹けば東に落葉がたまるのは当り前で、理窟で考えると馬鹿馬鹿しいような俳句であるが、その当り前のことに言外の意味が含まれ、如何にも力なく風に吹かれて、鉋屑などのように転ってる侘しい落葉を表象させる。庭の隅などで見た実景だろう。

寒菊や日の照る村の片ほとり

冬の薄ら日のさしてる村の片ほとり、土塀などのある道端に、侘しい寒菊が咲いてるのである。これも前と同じく、はかなく寂しい悲しみを、心の影でじっと凝視しているような句境である。因に、こうした景趣の村は関西地方に多く、奈良、京都の近畿でよく見かける。関東附近の村は全体に荒寥として、この種の南国的な暖かい情趣に乏しい。

我も死して碑に辺せむ枯尾花

金福寺に芭蕉の墓を訪うた時の句である。蕪村は芭蕉を崇拝して、自己を知る者ただ故人に一人の芭蕉あるのみと考えていた。そして自ら芭蕉の直系を以って任じ、死後にもその墓を芭蕉の側に並べて立てさせた。