輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

のわき

野分

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《野分(のわき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 頁

青空文庫

自からみいらとなるのを甘んじても妻を干乾にする訳には行かぬ。干乾にならぬよほど前から妻君はすでに不平である。

始めて越後を去る時には妻君に一部始終を話した。その時妻君はごもっともでござんすと云って、甲斐甲斐しく荷物の手拵を始めた。九州を去る時にもその顛末を云って聞かせた。今度はまたですかと云ったぎり何にも口を開かなかった。中国を出る時の妻君の言葉は、あなたのように頑固ではどこへいらしっても落ちつけっこありませんわと云う訓戒的の挨拶に変化していた。七年の間に三たび漂泊して、三たび漂泊するうちに妻君はしだいと自分の傍を遠退くようになった。

妻君が自分の傍を遠退くのは漂泊のためであろうか、俸禄を棄てるためであろうか。何度漂泊しても、漂泊するたびに月給が上がったらどうだろう。妻君は依然として「あなたのように……」と不服がましい言葉を洩らしたろうか。博士にでもなって、大学教授に転任してもやはり「あなたのように……」が繰り返されるであろうか。妻君の了簡は聞いて見なければ分らぬ。

博士になり、教授になり、空しき名を空しく世間に謳わるるがため、その反響が妻君の胸に轟いて、急に夫の待遇を変えるならばこの細君は夫の知己とは云えぬ。