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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
線上閱讀伊藤 左千夫《野菊の墓他六篇(かわぐちこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,105 字 · 61 頁
鍋に近い櫃に近い者が、汁を盛り飯を盛る。自然で自由だともいえる。妻は左右のだれかれの世話をやきながらも、先刻動揺した胸の波がいまだ静まらない顔つきである。いつもほど食卓のにぎわわないのは、親たちがにぎやかさないからだ。
琴のおさらいが来月二日にある。師匠の師匠なる大家が七年目に一度するという大会であるから、家からも三人のうち二人だけはぜひ出てくれという師匠からの話があったから、どうしようかと梅子がいい出した。梅子は両親の心もたいていはわかってるから、師匠がそういうたとばかり、ぜひ行きたいとはいわないのだ。しばらくはだれも何とも言わない。僕も妻もまた一種の思いを抱かずにはいられなかった。
父は羽織だけはどうにかくふうしてふたり行ったらよかろうという。父は子どもたちの前にもいくぶんのみえ心がある。そればかりでなく、いつとてこれという満足を与えたこともないのだから、この場合とてもそんなことがと心いながらも頭からいけないというのは、どうしてもいえないでそういったのだ。
母なるものには、もとより心にないことはいえない。そうかといって、てんからいけないとはかわいそうで言えないから、口出しができないでいる。