輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かわぐちこ

野菊の墓他六篇

伊藤 左千夫

線上閱讀伊藤 左千夫《野菊の墓他六篇(かわぐちこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,105 字 · 61 頁

青空文庫

この春東京へは突如として牛疫が起こった。いきおい猛烈にわが同業者を蹂躙しまわった。二カ月の間に千二百頭を撲殺したのである。僕の周囲にはさいわいに近くにないから心配も少ないが、毎日二、三枚ずつはかならずはがきの報告がくる。昨夜某の二十頭、けさ某の四十頭を撲殺云々と通じてくるのである。某の七十頭、某の九十頭など、その惨状は目に見えるようである。府内はいっさい双蹄獣の出入往来を厳禁し、家々においてもできる限り世間との交通を遮断している。動物界に戒厳令が行なわれているといってよい。僕はさいわいに危険な位置をいささか離れているけれど、大敵に包囲されている心地である。もっとも他人の火事を見物するような心持ちではいられないのはもちろんだ。

同業者間にはかねての契約がなり立っている。同業中不幸にし牛疫にかかった者のあった場合には何人もその撲殺評価人たる依頼を拒まれぬということである。それで僕はついに評価人にならねばならぬ不幸が起こった。

深川警察署からの通知で、僕は千駄木町の知人某氏の牛疫撲殺に評価人として出張することとなった。僕ははじめて牛疫を見るという無経験者であるから、すこぶる気持ちは良くないがやむを得ないのだ。