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きんろう
金狼
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《金狼(きんろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,438 字 · 179 頁
急に眼つきを鋭くして首をかしげる。しめ忘れたはずはない。……だれか内部にいるのだ。扉のすき間に耳をあてて息をころす。それから、二三歩身をひくと、きっと二階の窓を見あげた。
西洋美術骨董、と読ませるつもりなのだろう〈FOREIGN ARTOBJECTS〉と書いた看板のうしろで、窓の鎧扉がひっそりと雫をたらしていた。飾窓も硝子扉もない妙に閉めこんだ構えの、苔のはえたような建物だった。
扉をあけてそっと店のなかへはいり、身体をまげて板土間の奥のほうをすかして見る。
足のとれた写字机、石版画、セーブル焼の置時計、手風琴、金鍍金の枝燭台、古甕……鎧扉の隙まからさしこむ光線のほそい縞の中で、埃をかぶった古物が雑然とその片鱗を浮きあがらせている。その奥のうす闇のなかで、ちらと人影らしいものが動いた。
入口の扉に鍵をかけると乾はずかずかと、そのほうへ進んでいった。
「誰だ、そこにいるのは!」
闇のなかの人物は身動きしたのであろう。かすかに靴底の軋む音がした。どうやら長椅子のうしろにいるらしい。
「出てこい、こっちへ!」
古物のなかから三稜剣をぬきだして右手に握ると、スイッチをひねる。