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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

そのとき、深夜の客をのせた一台の自動車が、むこうから走ってきました。

その自動車の運転手は、人どおりのない町を、気をゆるして運転していたのですが、ふと気がつくとヘッドライトの光のなかに、おそろしい怪物の姿を見て、びっくりぎょうてんしてしまいました。

とっさには、何ものとも、見わけられませんが、ともかく、まっ黒に光った大グマほどもある、ながい足の何本もはえた怪物です。二つの大きな目が、ヘッドライトをうけて、ギョロギョロと光っています。そのうえ、頭のてっぺんに、おそろしいツノがとびだしているのです。その怪物が、グッと、頭をさげて、するどいツノで、自動車にむかって、いどみかかってくるように見えたのです。

うしろの座席にいた客の紳士も、怪物に気づきました。そして、あっとさけんだまま、クッションの上にうつぶせになってしまいました。

こちらから、見ている人たちは、自動車がカブトムシにぶつかってくれれば、いくら怪物でも、きっときずつくだろうと、手に汗をにぎっていたのですが、自動車は、怪物のまえ五メートルほどに、せまったとき、キーッという音がして、急停車しました。