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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

そびえる鉄塔

三時間、四時間、自動車はまだ走りつづけています。だんだん道が悪くなってきたとみえて、ガタガタと、はげしくゆれるのです。おなかもへってきました。小林君は例の袋の中から、かたパンをとりだしてかじり、ウイスキーびんの水をのみました。

ああ、このふしぎな自動車旅行は、いったい、どこまでつづくのでしょう。

そびえる鉄塔

途中で、一度、休みました。自動車にガソリンを入れたのです。そして、しばらくやすむと、また走りだしました。しばらくすると、のぼり坂にさしかかったらしく、速力がにぶくなりました。おそろしいでこぼこ道です。小林君は、泣きだしたくなるほどの苦しみでした。

もう、からだがしびれてしまって、気がとおくなりそうでした。それでも、自動車は、とまるようすがありません。それからまた、ながいながい時間、ゆれにゆれたうえ、やっと目的地にたっしたらしく、ぴたりととまったまま動かなくなりました。

小林君のかくれている、にもつ入れの、ふたのすきまから、うっすら光がさしています。夜が明けたのです。

自動車をおりた怪人団の男たちの話し声が、かすかに聞こえてきました。そっと、にもつ入れのふたをひらいてみますと、そこは、大きな森の中でした。