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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

「そら、しっかりあるくんだ。おい、十一号、むきがちがうぞ。列をはなれてはいけない。」

ピシリーッ。おそろしいむちが、十一号とよばれたカブトムシの背中に、とびました。

「こんどは、走るんだぞ。おくれたやつはむちのおみまいだ。そら、いいか、かけあしっ……。」

号令とともに、むちが空中で、ピシッ、ピシッとなりました。

十数ひきの巨大なカブトムシたちは、むちをおそれて、かけだしました。いくつともしれぬ足の床をこする音が、ザーッというような、異様なひびきをたてるのです。巨大な妖虫どもが、大きな輪をかいてグルグル、グルグル、広間の中をかけまわるありさまは、じつに、なんともいえないへんてこな、うすきみのわるい光景でした。

そして、かけあしで、三度ほどまわったときでした。とつぜん、

「とまれっ……。」

じいさんが、はげしい声で、号令をかけました。

「おい、十二号、こちらへこい。」

そして、十二号の背中に、ピシリーッ、とむちがあたりました。

「おかしいぞ。おまえ、いつのまに、そんなにうまくなった。きのう、はいったばかりの兵隊が、そんなに走れるはずがない。おかしいぞ。おい、あおむきになれ。