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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

見ると、それは、服はちがっていましたけれど、さっきの、悪ものの水夫でした。

それよりも、びっくりしたのは、いまいる場所です。そこは、山の中の、ほら穴のようなところでした。でこぼこの、黒っぽい岩のトンネルのようなかんじです。賢吉君は、どろぼうのいわやの中へ、つれこまれたのではないかとおもいました。

逃げだすことは、むろんできません。そばに、悪ものの水夫が、がんばっているし、それに、からだが、くたくたにつかれてしまって、もう、なにをする元気もないのです。賢吉君は、タルのそばへうずくまって、ただ、ぼんやりと、あたりをながめるばかりでした。

そのときです。ふかいトンネルのようになった、ほら穴のむこうから、ちらっとへんなものが見えました。うす暗いほら穴の中ですから、はっきりはわかりませんが、なんだか、ギョッとするよな、おそろしいものでした。

びっくりして、その方を見つめていますと、そのへんなものの姿が、岩かどから、ヌーッと、あらわれてきました。賢吉君は、あっとさけんで、おもわず逃げだそうとしました。すると、水夫が、おそろしい力で賢吉君のかたをおさえて、そこへすわらせてしまいました。