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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
まだうす暗い夜あけまえでしたが、じっと見ていると、だんだん目がなれて、そのへんがはっきり見えてきました。
「おや、こんなところに、モグラがいるのかしら?」
小林少年は、おどろいて、そこを見つめました。しげみの中の草が、グラグラと動いているのです。猟犬のようにするどい明智探偵は、さっきから、それに気づいていたのでしょう。
草は、ますますひどく動きだしました。六十センチ四方ほどの地面が、草といっしょに、グーッと、もちあがってくるのです。そして、あっとおもうまに、その草のはえた土が横に動いて、そのあとに、まっくらな四角い穴がひらきました。
それから、じつにふしぎなことが、おこったのです。その四角な穴から、なにものかがニューッと、首をだしたではありませんか。それはモグラではなくて人間の首でした。
その人間の首は、用心ぶかく、キョロキョロと、あたりを見まわしていましたが、こちらのふたりには、すこしも気づかず、だれもいないとおもったのか、そのまま、穴からはいだしてきました。その男は、やっぱり、そのへんの漁師のようなふうをしていました。三十五―六の強そうな男です。