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てっとうのかいじん

鉄塔の怪人/海底の魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁

青空文庫

それは、なんだか、えたいのしれない、気味のわるいかたちのものです。

賢吉君は、あの黒いふろしきづつみの中には、いったい、なにがはいっているのだろうとおもうと、いっそうおそろしくなって、からだがブルブルふるえてくるのでした。

「賢吉君……。」

その男が、よびかけました。やさしい声です。賢吉君は、「おやっ、へんだな。」とおもいました。いつもの男の声とは、まるでちがっていたからです。

「わしだよ、わしだよ。悪ものに変装しているけれど、よくごらん、わたしは明智だよ。」

それをきくと、賢吉君は、ハッとしておもわず立ちあがりました。そして、こうしのそばによって、男の顔を見つめました。賊の手下とそっくりに変装していましたが、よく見ると、明智先生でした。うすぐろくぬった顔の中から、あのなつかしい明智先生のおもかげが、スーッと、うきだすように見えてくるのでした。

「あっ、先生!」

賢吉君は、こうしにとりすがって、おもわずさけびました。

「そんな大きな声を出しちゃ、いけない。わたしはきみを、たすけだしにきたのだ。いまに小林も、ここへくるからね。」

明智探偵は、そういって、懐中電灯を高くあげて、トンネルのようになった、ほら穴の向こうの方にむかって、二―三度ふりてらしました。