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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
しばらくして、気がつくと、もうガラスの外には、なにもいません。それじゃ、いまのは夢だったのかしらと、おそるおそる、ガラス戸をひらいて、外をのぞいてみました。なにもいません。
そっと、外へ出てみました。そこにあるのは、シーンと、ねしずまった町ばかりです。山村君は、うちのほうへ、かけだしました。そして、まがりかどまで来て、ヒョイと銀座のおもてどおりのほうを見ると、ずっと向こうのかどに、へんてこなものが、うごめいているではありませんか。
山村君は、ギョッと立ちすくんだまま、もう身動きもできなくなりました。
やっぱり怪物がいたのです。真夜中で、ネオンは消えているけれども、街灯があります。その光にてらされて、巨大な怪物の背中が、まるでウルシのように、黒びかりに光っているのです。
それは、カブトムシを万倍も大きくしたような、見るもおそろしいばけものでした。カブトムシのキングコングです。頭のさきから、ニューッと、太いツノのはえた、一角獣のような怪物です。
そのとき、山村少年のうしろから、コツコツと、くつの音がしました。またしても、ギョッとして、ふりむきますと、それは、ばけものではなくて、パトロールのおまわりさんでした。