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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 頁

青空文庫

「冗談じゃないぜ、――銭形の親分のとなりへ泊り込もうという寸法だろうが――いや知ってるよ、憚りながら天地見通しさ。お前はいつか、銭形の親分に岡惚れしているといったじゃないか、お静姐さんを助けて来て、うまく滑り込もうという術は下手じゃないが、相手が銭形の親分じゃ駄目だよ」

「まア」

お銀はイソイソと近づいて、八五郎と肩を並べました。

「銭形の親分は、お楽の阿魔が入り込んだ一件(別作『平次女難』)ですっかり懲りているんだ。あの家へ入り込もうなんて無理な望みさ」

八五郎はズケズケと素ッ破抜くのです。

「そんなつもりじゃありませんよ、八五郎親分」

「だからよ、おれは不粋な役を買って出て、お前を誘い出したんだ。悪いことはいわねえ、鼻面を北の方へ向けてよ、真っ直ぐに谷中の森へあんよしな」

八五郎は好い心持そうでした。

「まア、八五郎親分。いえさ、八さん、私はそんなつもりじゃないの。お前さんの家へつれて行って下さいな。宜いでしょう、ね、ね」

驚くべき魅惑的な鼻声、八五郎はそれを聞くとフラフラと眩暈がするのでした。

お銀の宿

八五郎にズケズケいわれながらもお銀は黙ってついて行きました。