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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 頁

青空文庫

最後の一人

平次は樽拾いの元吉の家から借りて来た財布を取り出しました。少し派手な黄八丈で、だれが見てもたった一と眼で個性がつかめる柄です。

「お栄の袷と同じ柄ですよ、――あの晩着ていたでしょう。あの女はとんだ衣裳持ちで、それからあの袷は着ませんが」

八五郎は飛びつきそうな顔をするのでした。

「そうか、それで思い出したよ。柄に覚えがなきゃ、お前にかいでもらおうと思っていたんだが――」

「ヘッ、かぐんですかねエ」

「かぎたいような顔だよ、鼻をヒクヒクさしているじゃないか――ところで、この財布に二十両の小判を入れて、佐久間町の樽拾いの小僧の家の窓から投り込んだ者があるんだ」

「ヘエ」

「そいつはだれの仕業だと思う、八」

「何時のことです?」

「宇八が谷中で殺された晩だよ」

「それじゃお栄じゃありませんか。あの晩お栄は宵のうちにちょいと出たようですが、何処へ行ったかときいても、笑って返事をしなかったんです?」

八五郎は今までお栄をかばうつもりもなく、それをいわなかったのです。

最後の一人

それから三日目。

「おや、お静、また大変の憑物が来たようだ。入口の洗い物だけでも片づけて置け」

そんな事をいっているところへ、