輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かぎ

鍵

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《鍵(かぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 102,182 字 · 200 頁

青空文庫

を固守している旨を日記に書き、夫に私の貞節を信じさせるように努めたのであったが、「紙一重のところまで」接着していた私と木村の最後の壁がほんとうに除かれたのは、正直に云うと三月二十五日であった。翌二十六日の日記に、私と木村のそらぞらしい問答が記されているが、あれは夫を欺くための拵えごとであった。そして、私の心に重大な決意ができ上るようになったのは四月上旬、四日、五日、六日、あたりであったと思う。夫に誘導されて一歩一歩堕落の淵に沈みつつあった私であるが、まだそれまでは、夫の要請黙しがたく苦痛を忍んで不倫を犯しているかのように、―――そうしてそれは舊式な道徳観から見ても、婦人の亀鑑と仰がれてもよい模範的行為であるかのように、自分を欺いていたのであったが、その時あたりから、私は全く虚偽の仮面を投げ捨ててしまった。私はきっぱりと、自分の愛が木村の上にあって夫の上にはないことを、自ら認めるようになった。四月十日に、「体の工合が寒心すべき状態にあるのは夫ばかりでなく、実は私も同様である」と書いているのは、深い魂胆があってのことで、ありようは、私は病気でも何でもなかった。