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まぶたのはは

長谷川伸傑作選 瞼の母

長谷川 伸

線上閱讀長谷川 伸《長谷川伸傑作選 瞼の母(まぶたのはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,753 字 · 192 頁

青空文庫

〔大詰〕

第一場 布施の川べり

(いいかけてやめる)

子守子 (子守唄をうたって行きかける)

いわしの北公、葦を分けて、そッと這いあがる。

茂兵衛 (云いやめてそらす眼に北公が見つかる)

北公  (泡をくって、蛙の如く、川へ飛び込む)

茂兵衛 おい。(といったが間に合わぬ)

子守子 (水音に驚き唄をやめて振り返り、何事もないと思いうたいつづける)

茂兵衛 (石に腰かけ、食い残りを頬張り始める)

行々子が遠くで、近くで、交み代りに鳴いている。

〔大詰〕

第一場 布施の川べり

十年程経った後の春のころのこと。下総の国安孫子から南東一里ばかりの利根川に沿った布施は、その対岸が常陸の国戸頭である、その渡しを七里の渡しと称えている。

(布施は松戸方面から水海道へ往来にあたる。布施は布佐などと同様に中相馬と呼ばれている土地)

布施弁天堂のある弁天山から少し離れて利根川が流れている。対岸は約半里の遠さ。

砂地へ曳きあげた、かなり大きな船を――船尾だけしか見えない――老船頭とその子の若者とがでている。

船の中で船大工がマキハダを打つ音がする。

老船頭 (船底に茅火をあてながら唄う)はあ、利根はよいとこ、上中下の、どこを見たとて、花が咲く。