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とうぎゅう

闘牛

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《闘牛(とうぎゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,976 字 · 20 頁

青空文庫

五

「それは何ういう点でしょう?」

「一口に云うと生意気なのだ!……新思想などを振り廻わしてな」

ラシイヌは突然立ち上った。そして別れを告げたのである。

「閣下、眼星がつきました。明日、闘牛の終えた時、此室でお眼にかかりましょう……ええと、それにしても甥御様は、感情家のように思われますが?」

「狂人のような人間だ!」

宮相はにがにがしく云い放った。

探偵は深く頷いたが、老宮相の手を握り、それから室を出て行った。

五

その翌日のことである。

謁見室には只一人宮相だけが残っていた。夜と昼との境目の、微妙な灰色の外光を、窓から幽に受けながら、彼は思いに沈んでいる。彼の眼の前の卓の上には、一通の手紙が載せてあり、小さな箱が載せてあった。

手紙も小箱も、ラシイヌから、宮相に送り越したものである。そして小箱のその中は「サラセンの耳飾」が入れてあり、手紙の中には、耳飾を、どうして見付けたかが書いてある。

そして宮相はもう既に、その両方を見たのであった。耳飾も手紙も見たのであった。

その両方を見たが為に、今、宮相はそうやって思いに沈んでいるのである。

怒りと悲みと責任感とに、彼は責められているのであった。