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おかめ

阿亀

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《阿亀(おかめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,900 字 · 14 頁

青空文庫

――なあーんだ。

二人は見返りもしないで、肩を並べて出て行った。

僕は二回も負け、こんどは木谷が相手をしようというのを郤けて、球の方は木谷と中年の男とに任したままぼんやり考えこんだ。残された青年の一人が、暫くつっ立って球をいじっていたが、やがてつまらなそうに帰っていった。

――彼奴かな。

お久と一緒に出て行った青年の姿が、初めは気にも留めなかったが、その時になって、はっきり頭の中に描き出された。青年といっても、学生といっても、学生と会社員との中間に当るくらいの年配と様子とで、セルの着物を一枚無造作にひっかけた恰好が、肩の骨立った張り工合から、腰の薄べったい痩せ工合など、呼吸器でも悪そうな風の男で、細面の顔が蒼白かった。始終知らん顔をして、目交え一つしなかったが、二人で並んで出て行った様子を見ると、お久と家をもってるのらしい。

「あの男ね……先刻出ていった……あれは、始終ここに来るのかい。」

木谷が側に来た時、僕はそう聞いてみた。

「ああ、常連の一人だよ。伊坂といって、球はなかなか強いんだ。」

「伊坂……。」

――あの男か。

お久がカフェーに出ていた頃、始終つけ狙ってる男があった。