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あなんとじゅじゅつしのむすめ

阿難と呪術師の娘

岡本 かの子

線上閱讀岡本 かの子《阿難と呪術師の娘(あなんとじゅじゅつしのむすめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,425 字 · 58 頁

青空文庫

舎利弗 ――恐れ入ります、一同無事で御座います。

(右側、尼僧の列の先頭より曇弥が出でて問候する。)

※(「りっしんべん+喬」、第3水準1-84-61)曇弥 ――世尊、衆生をお救いになる御心配のほかに、お心を悩ますことも御座りませぬか。お慈悲を受け付けぬ者達以外に、お心を痛めるものも御座いませんか。

釈尊 ――有難う。わしは別段その他に悩みも無い。お前達は何うである。

※(「りっしんべん+喬」、第3水準1-84-61)曇弥 ――恐れ入ります。わたくし共もみな心の清々しさにおらして頂いて居ります。

釈尊 ――それは何より結構なことである。それではこれからいつもの通り、朝の訓話を始めるから、一同席につき心を静めて聴くがよい。

(列の人々一拝し、おのおの座具の上に座を占める。)

釈尊 ――静かな朝である。穢れなき朝である。闇は虹の曳き初めた空の雷のように遠く離れて行き、眠りは拭わるる鏡の曇りのように淡く姿を消して行く。日の出ずるも間も無い事であろう。

仏の子等よ。心を調てこの朝を考え見よ。朝とはどのようなものであるか。闇さえ退ければおのずから朝が来る。眠りさえ打払えば眼はおのずと覚める。