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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《陽炎座(かげろうざ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,381 字 · 67 頁

青空文庫

一………………………………中村 洋食

初日出揃い役者役人車輪に相勤め申候

名の上へ、藤の花を末濃の紫。口上あと余白の処に、赤い福面女に、黄色な瓢箪男、蒼い般若の可恐い面。黒の松葺、浅黄の蛤、ちょっと蝶々もあしらって、霞を薄くぼかしてある。

引寄せられて慕って来た、囃子の音には、これだけ気の合ったものは無い。が、松崎は読返してみて苦笑いした。

坂東あべ川、市村しるこ、渠はあまい名を春狐と号して、福面女に、瓢箪男、般若の面、……二十五座の座附きで駈出しの狂言方であったから。――

「串戯じゃないぜ。」

思わず、声を出して独言。

「親仁さん、おう、親仁さん。」

なぞのものぞ、ここに木賃の国、行燈の町に、壁を抜出た楽がきのごとく、陽炎に顕れて、我を諷するがごとき浅黄の頭巾は?……

屋台の様子が、小児を対手で、新粉細工を売るらしい。片岡牛鍋、尾上天麩羅、そこへ並べさせてみよう了簡。

「おい、お爺い。」

と閑なあまりの言葉がたき。わざと中ッ腹に呼んでみたが、寂寞たる事、くろんぼ同然。

で、操の糸の切れたがごとく、手足を突張りながら、ぐたりと眠る……俗には船を漕ぐとこそ言え、これは筏を流す体。