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あめあがる

雨あがる

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《雨あがる(あめあがる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 頁

青空文庫

これを見て伴れの四人は怒って、

「下郎から先に片づけろ」

こう叫んで、これまた刀を閃かして向って来た。伊兵衛は困って横へ避け、「よして下さい、そんな、ああ危ない、それだけはどうか、とにかく此処は、あっ」

手を振り、おじぎをし、懇願しながら、右に左に、跳んだり除けたり廻りこんだり、なんともめまぐるしく活躍し、みるみるうちに五人の手から刀を奪い取り、それを両手でひと纒めにして、頭の上へ高くあげながら、「どうか許して下さい、失礼はお詫びします、このとおりですから、どうかひとまず」などと云い云い逃げまわった。

これより少しまえ、松林とは反対側にある道へ、三人の侍が馬を乗りつけて来て、この場のようすを眺めていた。そうして、逃げまわる伊兵衛を五人の者が、「刀を返せ」とか「この無礼者」「待て下郎」などと喚きながら追いまわすのを見て、初めて馬を下り、そのなかの二人がこっちへ近寄って来た。

「鎮まれ、見苦しいぞ」

四十五六になる肥えた侍が、よく徹る重みのある声で制止した。

「はたし合いは法度である、控えろ」

「御老職であるぞ」

もう一人がどなった。

「――みな鎮まれ、御老職のおいでであるぞ」