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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《雨あがる(あめあがる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,794 字 · 43 頁
「そういうことも有りそうですな、うむ、私などには奥ゆかしく思われる御性分が、他のばあいには却って邪魔になる、まわりあわせというか、運不運というか、宿命というか」主膳はなにやら云って頷いて、「――では剣法のほかにも弓馬槍術、やわらなども御堪能なわけですな」
「堪能などとはとんでもない、申上げたとおりまことに疎忽なものでございまして」
「いやわかりました、うちあけて云うとこんな早急にお招きしたのは、私のほうにも一つお願いがあるのです」
つまりもういちどここで腕を見せて貰いたい、実はそのために相手をする者を三人待たせてある、というのであった。そのときはもうかなり酒がはいっていた。主膳が意識的に飲ませたようでもあるが、伊兵衛はどちらかというと少し酔っているほうがいいので、むろん快活に承知した。
「よろしかったら唯今でも結構です」
「では御迷惑でもあろうが」
主膳が声をかけると牛尾大六が来た。次の間にいたらしい。あちらの用意をきいてまいれと云われ、さがっていったが、すぐに用意のできていることを復命した。
案内されたのは道場であった。この家に付いて建てられたもので、母屋の廊下を二た曲りしたところに在り、小さいながらも造りも正式だし、控え部屋もあるもようだった。