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あめをふらすはなし
雨を降らす話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《雨を降らす話(あめをふらすはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,519 字 · 25 頁
雲も降るのであるが、その落下速度があまり小さいので、浮いているように見えるだけである。それならば、充分な時間をかければ、雲もやがて地上に届くはずであるが、実際は途中で蒸発してしまうので、水としては地面に達しない。
雲は直径百分の一ミリ程度の微水滴である。こういう小さい水滴が、何らかの経路で大きくなって、直径半ミリとか一、二ミリとかの水滴になれば、雨となって降って来る。それで人工で雨を降らす術は、結局雲粒をいかにして成長せしめるかという点に帰する。それならば、天然に雨滴が出来る経路を研究して、その機構を人工的に加速してやればよいということになる。
ところが、この天然に雨滴が出来る機構がまだよくわかっていない。これくらい科学が発達したのに、「どうして雨が降るのか」という小学生の質問に、世界中の気象学者と物理学者とが、総がかりでも答えられないというのは、極めて奇妙な話であるが、実際のところ、まだよくわかっていないのだから仕方がない。地面から水蒸気が蒸発して、上空に上って行く。上空はいつでも寒いから、その水蒸気は、何か芯になるものに凝縮して雨になる。というふうに、一般にはいわれている。