輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《雨瀟瀟・雪解 他七篇(あめしょうしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,414 字 · 289 頁
丁度マスターがいますよ。」と女給は頬張ったバナナが物を言うと口からはみ出しそうにするのを指先で中の方へ押込んでいる。
お千代は南京玉の簾を掻分けて這入ると、内は人の顔も見分けられないほど薄暗い土間のままの一室で、植木や卓子のごたごた置いてある向うの片隅に、酒場の電燈が棚の上に並べた洋酒の壜と、白い着物を着た男と、黒い背広を着た男二人の顔を照しているのが見えた。躓きながら歩み寄って、「表に書いてありましたから……。」と腰をかがめると、背広の男が話をやめて早速住所氏名をききはじめた。お千代は此処でもまた追て通知をするというのだろうと思って、
「それでは何分よろしく。」といって手にした肩掛を持ち直すと、背広の男は造作もなく、
「今からでもいいですよ。見習をして行きなさい。」
「それでは、そう致しましょう。」
背広の男は組頭とも見える女給を呼んでお千代を引合せると、その女給はまず酒場の後の三畳ばかりの室にお千代を案内して羽織や肩掛をぬがせ、「わたしたちの組は赤なのよ。今日は二階が赤なんだから、二階へ行きましょう。」
ほどなく日が暮れると、二階中には電燈がつきながら、その薄暗さは階下よりもまた一層甚しいように思われた。