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くものこみち
雲の小径
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《雲の小径(くものこみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,634 字 · 33 頁
呼ばれれば、渋々、やってくるくらいのところである。
霊を呼ぶのは、「霊媒」という、そのほうの専門家がやる。その方法は、霊媒が一種の放心状態になって……というのは、じぶんの魂をひと時、肉体から出してやって空家にしておき、そこへ呼びよせた霊を入れるという手続きになるわけだが、借りものにもせよ、肉体があるのだから、霊は、ものも言うし、動作もする。
霊などというものが、ほんとうにあるのかないのか。あるとすれば、どんな形をしているのか。そういう心霊現象については、ポートモアの「心霊現象」やロッジの「心霊電子論」などという研究がある。死後の世界のことは、ロンブローゾが「死後は如何」で、メーテルリンクが「死後の生命」で述べている。
霊媒が無我の状態に入ると、なぜ心霊が宿るのか。霊というものは、そんなにやすやすと出てくるのか。そういった初歩の疑問にたいして、聖書に「神の告げを受ける人」があり、ギリシャには「神托者」というものがいたように、失神状態や恍惚状態は、むかしから神と人との唯一の交通の方法だったと、心霊学者が答える。
白川幸次郎が、香世子の霊に逢いに行ったのは、麻布広尾の分譲地のはずれにある、心霊研究会「霊の友会本部」