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でんぽう
電報
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《電報(でんぽう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,388 字 · 13 頁
聞き覚えのある声だった。それは、助役の傍に来て腰掛けている小川という村会議員が云ったのだ。
「はあ。」と、源作は、小川に気がつくと答えた。小川は、自分が村で押しが利く地位にいるのを利用して、貧乏人や、自分の気に食わぬ者を困らして喜んでいる男であった。源作は、頼母子講を取った。抵当に、一段二畝の畑を書き込んで、其の監査を頼みに、小川のところへ行った時、小川に、抵当が不十分だと云って頑固にはねつけられたことがあった。それ以来、彼は小川を恐れていた。
「源作、一寸、こっちへ来んか。」
源作は、呼ばれるまゝに、恐る/\小川の方へ行った。
「源作、お前は今度息子を中学へやったと云うな。」肥った、眼に角のある、村会議員は太い声で云った。
「はあ、やってみました。」
「わしは、お前に、たってやんなとは云わんが、労働者が、息子を中学へやるんは良くないぞ。人間は中学やかいへ行っちゃ生意気になるだけで、働かずに、理屈ばっかしこねて、却って村のために悪い。何んせ、働かずにぶら/\して理屈をこねる人間が一番いかん。それに、お前、お前はまだこの村で一戸前も持っとらず、一人前の税金も納めとらんのじゃぞ。