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でんきぶろのかいしじけん
電気風呂の怪死事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《電気風呂の怪死事件(でんきぶろのかいしじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,788 字 · 34 頁
と、その時、赤羽主任の眸はパッと大きく見開いた。というのは、その今しも見つめていた女の頸筋から一寸程離れた肩先に附着していた血痕が、チラリと閃いたようだったからである。
「おやッ?」
と叫んだ時、チラッと再び、その辺の血痕は鋭く光った。そして、同時に、その血は頸筋へかけてすうっと流れ出したではないか? 思わず掌を出して、赤羽主任はその上へ拡げてみた。と、まさしく、ポトリと音がして、赤羽主任の掌上には、一滴の血潮が、円点を描いた。
「ヤッ血だ!」
一層頻繁に落ちて来る血潮を受け止めながら、赤羽主任は反射的に天井を見上げた。それに誘われて傍の人々もひとしく高い浴室の天井に首を廻らせた。
「やッ、あそこに、あんな、あんなものが――」
誰かが叫んだ時、一同の眼は同時に同じものを認めたのであった。
それは、高い高い、浴場特有の水色のペンキで塗られた天井であった。その天井の、ちょうど女の屍体が横っている真上と覚しい箇所に、小さな、黒い環が見えていたのだ。いや、黒いと思ったのは、実は真紅な環で、血の滲み出た環であったのだ。そこから、ポタリポタリと血潮が、青白い女の肉体に落ちるのではないか?